なぜ正確にまとまった飛行ができるのか?

ドローンショーのドローンは、1台1台のドローンが光を放ちながら群をなして飛行し、様々な絵を表現しています。これに欠かせないのが、個々のドローンが正確に決められた位置通りに飛行する技術です。

位置を計測する(測位)ために使われている技術は、皆さんご存知のGPSです。GPSはアメリカで運用されているシステムの総称で、このような衛星を使った測位システムのことを、GNSS(グローバルナビゲーション衛星システム)と言います。

RTK(Real-Time Kinematic、リアルタイムキネマティック)技術は、GPSの精度を飛躍的に向上させる技術です。この技術は特に、測量やドローン、自律走行車などの高精度な位置情報が必要とされる分野で活用されています。ここでは、RTK技術の概要と歴史を振り返りながら、その重要性について説明します。

目次

RTK技術の概要

RTK技術は、2つ以上のGNSS受信機を用いて、センチメートル級の高精度な位置情報を提供するシステムです。通常のGPSが5メートルから10メートル程度の精度しか提供しないのに対し、RTKでは、固定された基準局(ベースステーション)と移動局(ローバー)との間でリアルタイムに差分情報を交換し、誤差を補正することで、数センチメートルといった非常に高精度な位置測定が可能になります。

RTKの基本原理

RTKは、ベースステーションとローバーの間で、GNSS衛星からの信号に含まれる位相情報を比較することで誤差を補正します。GPSの誤差は、主に電離層や大気の影響、衛星軌道の不正確さによるものですが、ベースステーションが固定されているため、その位置に関する誤差は常に同じです。これにより、ベースステーションが測定する誤差をローバーに送信し、リアルタイムで補正を行うことができます。

RTK技術の歴史

1980年代:GNSSの登場と測量への利用

RTK技術の基盤となるGNSS(特にGPS)は、1980年代にアメリカの軍事技術として開発されました。当時は、一般利用者向けに解放された精度はそれほど高くなく、数十メートル程度の誤差がありました。しかし、GNSSが徐々に商業利用されるようになると、位置情報の精度向上の必要性が高まりました。

1990年代:RTK技術の開発と実用化

RTK技術が登場したのは1990年代です。衛星信号を受信するだけでは高精度な位置情報を得られないため、地上に基準局を設置してその誤差を補正する技術が開発されました。これが「リアルタイムキネマティック(RTK)」技術です。

RTKの実用化により、測量分野で大きな革命が起こりました。従来の測量技術に比べ、RTKを使った測量はより効率的で精度が高く、特に建設や土木、農業分野においてその効果が顕著でした。

2000年代:RTKの普及と多分野での利用拡大

2000年代に入ると、GPSの商業利用がさらに拡大し、RTK技術は自動運転や精密農業などの分野でも活用されるようになりました。特に、自動運転車やドローンの制御には、数センチ単位の精度が要求されるため、RTK技術の活用が広まりました。

加えて、この時期には他のGNSS(例えば、ロシアのGLONASSやEUのGalileo)も登場し、それらを併用することでRTK技術の信頼性が向上しました。

2010年代以降:RTKの進化とネットワークRTK

2010年代には、RTK技術がさらに進化し、「ネットワークRTK」や「マルチGNSS RTK」が登場しました。ネットワークRTKでは、複数のベースステーションをネットワークで連携させ、より広範囲で高精度の位置情報を提供できるようになりました。

また、モバイルインターネットの普及により、リアルタイムでベースステーションからローバーに補正情報を送信できるシステムが一般的になり、都市部や農村部での活用が進んでいます。

2020年代:RTKのさらなる展望

現在、RTK技術はますます精度を高め、5G通信や人工知能(AI)技術と組み合わせることで、さらに進化しています。特に、ドローンや自動運転車、自律型ロボットにおいてRTKは欠かせない技術であり、将来的には都市のスマート化や無人物流システムなどの分野でも重要な役割を果たすと期待されています。

RTK技術の応用分野

  • 測量・建設業:RTKは、測量機器に広く採用され、建設現場での高精度な地図作成や基礎工事の計画に使われます。
  • 農業:精密農業では、RTKを使ってトラクターや農機具を自動制御し、種まきや肥料散布を最適化します。
  • ドローン:ドローンを使った空撮や測量で、正確な位置情報が必要とされるため、RTKが活用されています。
  • 自動運転:RTKは、自動運転車の精密な位置情報提供に重要な役割を果たしており、安全な運行を支えています。

まとめ

RTK技術は、GNSSの精度を飛躍的に向上させる画期的な技術として、測量、農業、建設、ドローン、自動運転などさまざまな分野で活用されています。特に1990年代に実用化されて以来、センチメートル単位の高精度な位置測定が可能になり、技術の進化と共に新しい応用分野が広がっています。

弊社では、このようなドローンショーを支える基礎技術に精通したメンバーが在籍しており、安心・安全な飛行を行う事が可能です。ドローンショーの開催に興味がある方は、遠慮なく以下ボタンをクリックし、表示されたフォームからご連絡下さい。

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